病理検査室は4階にあります。

病理検査室の説明

病理検査室では、組織診断、細胞診断、手術中の迅速診断、病理解剖を主な業務としています。
病理検査とは、患者さんの身体から採取された病変の組織や細胞から顕微鏡標本を作り、病理医がそれを顕微鏡で観察し、診断する検査です。この病変が腫瘍であるかどうか、また腫瘍であれば良性か悪性か、腫瘍の種類やその広がり、薬剤が効く腫瘍型であるかどうかなどを調べ、最終診断として臨床医に報告されます。この結果に基づき、臨床医は患者さまの予後、治療方針を決定します。
あまり聞き慣れない検査ですが、意外と患者さんに身近で、かつ重要な検査といえます。

組織診断

組織診断は、日本病理学会認定の病理医が行っています。

組織診で扱う検体には、生検材料(内視鏡的パンチ生検、乳腺や前立腺等の針生検、その他の切除生検等)、手術材料、剖検材料などがあります。

組織標本作製

固定 固定液に組織を浸すことにより、タンパク質を変性させて腐敗を防ぎ、組織構築を保つことを固定といいます。固定液には10%中性緩衝ホルマリンや20%ホルマリンを使用しています。
切り出し 切り出しとは、標本作製のために、生検材料、手術材料、剖検材料の適切な部位から、検査に必要な組織片を切り取る作業です。材料によって切り出す前の状態や、切り出しされた病変細部の写真撮影も行います。
薄切 切り出した材料をパラフィンに浸透させた後、顕微鏡で観察するために、組織を2〜5μm程の厚さに薄く切り、スライドガラスに張り付けます。この操作を薄切といいます。また、組織片を一定の薄い厚さに切る機器をミクロトームといいます。
染色 HE染色薄切した切片をスライドガラスに張り付けた後に染色を行います。染色とは、様々な色素を用いて、細胞や組織を染め分けることにより、構造をより観察しやすくするための作業です。すべての標本に一般染色と呼ばれるHE染色を行い、病理医が一度観察した後、必要に応じてさらに細かく染めわける特殊染色や免疫組織化学染色等を行います。

細胞診断

細胞診断は、日本臨床細胞学会認定の細胞診専門医及び細胞検査士が行っています。
細胞診には、
・剥離細胞診…生体の一部から剥がれ落ちた細胞を回収して標本を作製する。
       例)尿・喀痰・婦人科擦過検体・気管支擦過、胸水、腹水など
・穿刺吸引細胞診…病変部に直接注射針を刺入して採取した少量の組織から標本を作製する。
       例)乳腺、甲状腺など
などの種類があります。

細胞標本作製

塗抹 採取された検体を、スライドガラスに塗抹します。検体を綿棒やブラシで塗りつけたり、スライドガラス同士ですり合わせたりするほか、検体が少量の場合は遠心機で直接スライドガラスに付着させたりします。
固定 細胞内の物質を不溶性、不動性にして、細胞の構造を保持させるために固定を行います。固定には湿固定と乾燥固定の二種類あり、染色法によって使い分けています。
染色 パパニコロウ染色パパニコロウ染色や、ギムザ染色を行います。必要に応じて、特殊染色や免疫組織化学染色等も行います。

術中迅速診断

手術中に摘出された材料が良性か悪性か、癌が取りきれているか、転移の有無などを、手術中に検査することを術中迅速診断といいます。所要時間は組織診では15分程度、細胞診では30分程度です。

手術室との直通の搬送機で運ばれた検体から、臨床検査技師が迅速に標本を作製し、病理医や細胞検査士、細胞診専門医が診断した後に、直接手術室へ結果を電話報告します。

電子顕微鏡診断

通常の顕微鏡ではわからない、より小さな変化や物質を調べる目的で行うのが電子顕微鏡検査です。腎生検や悪性腫瘍等の鑑別診断時に使用します。

組織や細胞を、数百〜数万倍に拡大して検査します。