代表的な疾患

脳腫瘍

当科は脳腫瘍患者の症例が多く、特に悪性脳腫瘍患者の割合が高いことが特徴です。

悪性神経膠腫、脳原発悪性リンパ腫などの原発性脳腫瘍のほか、転移性脳腫瘍患者も多く、いずれも手術治療・放射線治療・化学療法を組み合わせた集学的治療を行っています。これらの手術に際しては、Neuronavigaterを駆使して正確な局在診断を行い、5-ALA等も併用して摘出率の向上に努めています。

放射線治療については、全脳照射、一般の定位放射線治療だけでなく、高度な放射線治療法である強度変調放射線照射(Intensity modified radiation therapy: IMRT)が可能な治療器機を有しています。化学療法は、欧米・日本双方の脳腫瘍学会や医学論文にて得られた最新・最善と考えられる最先端の治療を行っております。

また、良性腫瘍としては髄膜腫、下垂体腺腫などが多く、頭蓋底腫瘍や下垂体腺腫などについては神経内視鏡を使用した経頭蓋底、経鼻的摘出術などの低侵襲手術も行っています。

脳血管疾患

脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、頸動脈狭窄症などの血管障害の患者さんの診療を行っています。脳動脈瘤の根治術には、開頭によって動脈瘤の頸部を直視下にクリップによって血流破断する開頭脳動脈瘤頸部クリッピング術と、開頭術を行わず、血管内手術によって動脈瘤の内腔を特殊なコイルで閉塞させるコイル塞栓術とがあります。動脈瘤の形状や発生部位によって、この2つの治療法を選択して行います。

クリッピング手術中には、必ず、ICG蛍光撮影や神経内視鏡などを併用して確認し、手術の安全性の向上に努めています。

脳動静脈奇形は生まれつきの疾患で、毛細血管を欠く動脈成分と静脈成分からなる稀な血管奇形で、しばしば出血や、てんかん発作などで発症します。この疾患は、血管内手術による塞栓術、開頭摘出術、放射線治療などを選択して行う治療難易度の高い疾患です。

もやもや病は、先天的に内頚動脈週末部から狭窄が進んでいき、特に、内頚動脈系の主幹動脈の狭窄が起こるととともに、その側副血行路としてもやもやした雲のように見える細かい血管群が発達してくる疾患で、難病に指定されています。虚血症状や梗塞で発症したり、出血で発症したりする場合があります。虚血で発症する症例にして対しては、外頚動脈の分枝を、脳内の血管に吻合する血管吻合術を行ったりしています。

その他、頸動脈狭窄にたいして、血管内手術にて内腔を広げるステント留置術なども行っています。

*急性期脳血管障害(脳卒中)につきましては、高度脳神経センター医師として、協力して臨床にあたります。

頭部外傷

重症頭部外傷患者に対して、急性期に適切に手術適応を決定し、緊急開頭手術を行い、必要に応じて減圧開頭術や、バルビツレート療法、低体温治療等も追加して治療しております。また、軽微な頭部外傷後の慢性期疾患として知られている慢性硬膜下血腫の手術は、年間25〜40例ほどを行っています。

その他

水頭症に対しては、 発生機序によって、シャント術、第3脳室底開窓術などを選択しています。機能的手術としては、薬物治療が有効でない三叉神経痛や顔面けいれんに対する微小血管減圧術は、連携施設と協力して行うことがあります。尚、てんかん手術や不随意運動に対する深部電極刺激などの機能的手術、低髄液圧症の手術は、現在は行っておりません。