医師紹介

2.診療体制

大腸癌に対する治療は、大腸肛門外科グループが内視鏡診断・内視鏡治療から手術までを担当しております。
「根治性を損なわず、かつ、その中でより低侵襲な治療」を選択し、患者さんの体への負担が少しでも少なく済むよう、心がけております。ご紹介いただいた患者さん、先生方にご納得いただけるような治療を目指し全力を注いで治療に取り組んでおります。2017年より大腸肛門外科は2人に増員となりましたので、これまで以上に迅速な診療ができるようになりました。

 

3.治療方針

  • 腹腔鏡下大腸手術
    当院外科の得意とする手術の一つです。低侵襲治療である腹腔鏡下大腸手術は、当院では2001年より導入しております。現在は初発大腸癌のほぼ全例が腹腔鏡手術で行われています。手術1-2日前に入院し、術後7-10日で退院可能な治療法です。患者さんにとっては傷が小さいことから術後の痛みは少なく、術後早期に歩行や食事が可能で、入院期間も短く、早くから社会復帰が可能となります。
    腹腔鏡手術は創感染や腸閉塞などの合併症発生率が低く、最近では肺疾患のある患者さんには腹腔鏡手術の方がいいとする報告もあります。
  • 術式別手術創の比較

    開腹手術と腹腔鏡手術の術後の比較写真

  • 進行大腸癌
    進行癌に対してもその適応を拡大しており、腹腔鏡手術症例は増加しています。また、切除可能な大腸癌肝転移症例や肺転移症例に対しては積極的に肝・肺切除を行っています。進行再発症例に対しては、FOLFOX、FOLFIRI、XELOX、アバスチン、アービタックス、ベクティビックス、IRISあるいはUFT+LV、ロンサーフ内服などの化学療法を行い、予後の改善を図っています。
    当施設は日本肝胆膵外科学会高度技能手術の修練施設に認定されており、肝胆膵外科と手術のタイミングや手術方法について、密に連携を取って治療に当たっています。
    腹腔鏡下大腸・肝臓同時切除術の施行や、切除不能と診断された肝転移症例の中から、化学療法後に切除可能となり手術を行った症例も存在します。遠隔転移のある大腸癌患者さんの治療について、いつでもご相談ください。
  • 腫瘍のレントゲン写真
    化学療法思考により、腫瘍縮小を認めた

  • 閉塞性大腸癌
    緊急性を有する閉塞性大腸癌に対しては大腸ステントも行っております。これにより、人工肛門造設術を避け、待機的に腹腔鏡下手術による切除吻合術を行うことが可能です。
  • 腫瘍のレントゲン写真

    (大腸ステント安全手技研究会より)

  • 大腸内視鏡検査・治療
    当院では毎年、早期癌内視鏡治療数は約100例の経験を有します。大腸内視鏡検査は約2,300件/年で、拡大内視鏡・NBI検査を用いた早期癌診断を行っております。細径内視鏡や鎮痛剤を用いて痛みの少ない検査を心がけております。

  • 下部直腸癌の治療
    下部直腸癌に対しては腹腔鏡で手術を行うことで拡大視効果により、根治性、神経機能温存などの成績が優れていることが示されております。また、超低位前方切除術や括約筋間直腸切除術(ISR)を行なっています。患者さんの生涯にわたるQOLに関わる永久人工肛門も、肛門機能温存手術を行うことにより回避できる可能性がありますので、ご相談ください。
    また、当院にはすでに泌尿器科で用いられているロボット支援下内視鏡手術「ダヴィンチ」があります。直腸領域におきましても2018年4月より保険適用されました。直腸領域への導入に向け、現在取り組んでおります。
  • 腫瘍のレントゲン写真
    da Vinci Surgical System (Intuitive Surgical社)

  • 良性疾患
    繰り返す憩室出血やS状結腸軸捻転症、腹壁瘢痕ヘルニアなどの良性疾患に対し、腹腔鏡手術を含めた手術治療を行なっています。手術適応の判断の難しい領域ではありますが、患者さんの状態や背景を考慮し、治療法を相談しながら治療を行なっております。お気軽にご相談ください。
  • 主な手術の入院日数
    疾患 手術 予定入院日数
    大腸癌 腹腔鏡補助下大腸切除術 7-10日
    開腹大腸切除術 10-12日
    大腸ポリープ 大腸ポリープ切除術 0〜3日

4.診療実績

2021年度手術件数

術式 症例数
結腸手術 86件
直腸手術 32件
人工肛門関連手術 37件
肛門手術(痔核その他) 34件
合計 189件

5.地域医療機関の皆様にご参加いただける研修会やカンファレンス

外科系症例検討会を年2回当院にて開催しております。